乳がん

Q.私のメスのプードルは、乳首のあたりに小さな固いできものがいくつもあります。乳がんなのでしょうか?

人間とまったく同様に、メスのイヌ、特に老齢のイヌは乳がんになることがあります。生まれてから2度目の発情が来る前、通常6~12ヶ月齢のときに不妊手術をすると、乳がんの発生率が劇的に減少します。

乳がんは、イヌでは2番目に多く見られるがんです。一番多いのは皮膚がんです。ですから、ペットの体に「できもの」ができたら、ただちに獣医師にみてもらうべきでしょう。
がんでは、早期発見と早期治療が重要なかぎとなっているからです。そのできものが危険な悪性腫瘍なのか、危害のない良性腫瘍なのか、あるいはたんなるシスト(嚢胞)なのかを診断してもらいましょう。

乳がんのしこりは、通常固いかたまりで、しばしば乳首の近くにできます。しこりは、皮膚に密着している場合もありますし、皮膚と離れているため指でころころ動かすことができる場合もあります。
しこりの大きさはさまざまで、数週間であっという間に大きくなって患部が開いてしまうこともあります。
そのほかの兆候として、ペットの元気がなくなったり、発熱、粘膜蒼白、食欲不振、体重減少などがあげられます。

ペットの胸を触診すると、新たなしこりを発見することもあります。これは、がんの転移を意味しています。
がんが乳腺の組織にまでおよんでいる場合には、乳首をしぼると茶色の液体が出てきます。これを顕微鏡で観察すると、がん細胞がみられることがあります。
乳がんの疑いがある場合、バイオプシー、血液検査、レントゲン検査をし、悪性であるかどうか、また体のほかの部分へ転移していないかどうかを判定します。

転移していないような場合、乳房全切除術、あるいは乳房一部切除術を行い、腫瘍とその周囲の組織を外科的に取り除きます。
また、女性ホルモンが乳がんの成長を促進するといわれているため、卵巣子宮全摘出術をすることをおすすめします。

がんを早期発見、早期治療することによりペットの命が救われます。しかし、悪性腫瘍は非常に早く成長し、体のほかの部分に転移してしまいます。
メスのイヌは1歳になる前に不妊手術することで、乳がんの発生率を劇的に減少させることができる、という事実をよく覚えておいてください。

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