眼のかすり傷

Q. 新しくもらってきた子ネコが、誤ってイヌの眼をひっかいてしまいました。
イヌは眼をすぼめており、見ると赤くなって目やにが出ています。どうしたらよいのでしょうか?

イヌがネコにひっかかれるということは、よくあります。眼をひっかかれると、角膜や眼の表層が障害を受けます。

角膜にはたくさんの神経が通っていて、非常に敏感です。角膜が傷つくと非常に痛いため、涙が出て眼を開けているのがつらくなります。イヌには瞬膜というもうひとつのまぶたがあるので、時には傷ついた角膜を保護するために、この瞬膜が眼を覆うようになります。
また、痛みを和らげようとして、目のあたりを床にこすりつけるような動作をすることもあります。

角膜の傷が非常に小さくて、肉眼では異常がみられない場合でも、眼のケガはただちに獣医師に見てもらうべきです。
特別の染色液で角膜を染色し、障害をうけた部分だけを照らす特殊なライトで眼を観察します。
角膜の傷が深かったり、異物が角膜に残っている場合には、全身麻酔をかけて処置する必要があります。傷が角膜を深く貫通している場合、非常に小さな糸で角膜を縫い合わせることもあります。
場合によっては、動物の瞬膜を一時的に縫合して角膜を覆い、角膜が治癒するまで保護する方法がとられます。

角膜の潰瘍や傷は、どんどん広がって細菌感染を起こします。目から出血がある場合は傷が非常に深いので、救急処置が必要です。
さらに、正常に涙を産生することができないために、角膜潰瘍ができてしまうイヌもいます。この場合は、イヌの涙の量を測定し、人工涙液を処方する必要があるかどうかを決めます。

眼のケガは、決して自分で治療を試みるべきではありません。副腎皮質ホルモン薬を含んだ眼薬は、角膜に傷や潰瘍がある場合に使用すると、非常に危険だからです。

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