犬の代表的な病気③

1.皮膚の病気

皮膚病を起こす原因はたくさんあり、それぞれお互いが複雑に関係しあっていることが多いのです。しかし、どの皮膚病もその症状はよく似ています。毛が抜けたり、フケが多くでたり、激しいかゆみがあったり、ひっかき傷や血膿が出たり、皮膚の色が変わったりします。
主なものは、アカラス、カイセン、ノミ等が寄生して起こるもの、真菌(カビ)、細菌等によるもの、ホルモンや免疫機構の異常等によって起こるものがあります。
皮膚病の予防は、まず、いつも皮膚を清潔に保ち、長毛種では定期的にクシやブラシで毛の手入れをすることですが、忘れてならないのは、正しい栄養食を常時与えることです。ノミの予防を定期的にすることも必要です。また、皮膚の状態がおかしいときは早めに動物病院で診察を受けてください。

2.歯の病気

犬には、虫歯がほとんどありませんが、歯垢がつき、唾液中のカルシウムとともに石化して、いろいろな歯の病気になっている犬が多いのには驚かされます。歯石がたまっているかどうかは、食欲がむらになったり、口臭が発生したりしますのですぐにわかります。歯石は歯周囲炎(歯肉炎、歯槽膿漏等)の原因となり、心臓や腎臓やそのほかの臓器に悪い影響を及ぼすことさえあるのです。
人間と同様の柔らかい食べ物を食べている犬には、特に歯石がたまる傾向が強いのです。年に2回は診察を受け、必要に応じて歯石を取ってもらうことです。
また、予防が一番大事であることは言うまでもありません。その方法としては、
①ブラッシング(指、ガーゼ、歯ブラシなど)。
②食べても大丈夫の歯磨き→CET→1回0.5~2.0cmを1日2~3回食後になめさせる
③食餌療法→t/d→噛むだけで歯の表面をきれいにします。
④おもちゃ等
また、仔犬では、生後7ヶ月までに全部が乳歯から永久歯に変わりますが7ヶ月過ぎても乳歯が残って二列に歯がはえていたり、永久歯が変な方向に生えてしまったりしているものが小型犬には特に多くみられます。このようなものは、そこに歯石がたまりやすく、口の形が変になることもありますので、残っている乳歯を抜くというような治療を受けたほうが良いでしょう。

3.耳の病気

垂れ耳や耳の中に毛がはえてくる犬種は、耳の中が乾燥しにくいため、細菌が繁殖しやすく、炎症も起こりやすいわけです。
耳の病気の多くは外耳炎ですが、その原因は、細菌によって起こるもの、耳ダニ、アレルギー、免疫機構の異常など、さまざまです。
症状は、耳に触れると嫌がる、耳が臭い、耳垂れが出る、耳を頻繁にかく、頭を振る、首を傾けるなどです。外耳炎をひどくすると、鼓膜を破って中耳まで炎症がひろがりますので、この病気に気づいたら、早めに病院で治療を受けてください。 予防は、耳の中をいつも清潔にする、耳の中の毛を抜き、そのあと刺激の少ない薬でよく消毒することですが、病院でご相談ください。

4.犬の眼の病気と見分け方

「目は口ほどにものをいい」などと昔から言われているように、眼は眼だけの病気のほかに、内科的な病気や、そのほかいろいろな病気のあらわれ(症状)を示してくれることがよくあります。
たとえば、それが、ジステンパーや伝染性肝炎であったり、糖尿病、あるいはリンパ腫であったりします。これらの病気は、どれをとってみても犬にとってたいへん重大で恐ろしい病気です。このような病気の一症状として、眼に異常をあらわしていることがありますので、じゅうぶん注意が必要です。
それでは眼の異常をどのようにして見つけたらよいでしょうか?幸いなことに眼は左右にひとつずつあるわけです。左右の眼を比較するなどして、下記の10項目をチェックすることにより、みなさんも眼の異常により早く気づくことができます。
①左右の眼が、なんであれ、異なっていれば、どちらかの眼が異常です。
②左右のヒトミ(瞳孔)の大きさが異なっていたら、どちらかの眼が異常です。
③左右のヒトミの色や虹彩の色が異なっていたら、どちらかの眼が異常であることが多い。
④たくさん目やにが出ている眼は異常です。
⑤たくさん涙があふれ出て、目頭の毛が茶色くなっている眼は異常です。
⑥眼が開くことができないで、しょぼしょぼさせ、時々前足で眼をこするような場合、眼は異常です。
⑦ヒトミが昼間、白く見えたり、赤や青に見える眼は異常です。
⑧必要以上にまぶしがる眼は異常です。
⑨まぶたに触れただけで痛がる眼は異常です。
⑩犬がよく物にぶつかるような場合、眼に異常があることがあります。
ひと口に眼の病気といっても、結膜の病気から角膜の病気、虹彩や毛様体の病気から網膜の病気にいたるまでたいへん数多くの病気があります。
愛犬家のみなさんは、そのひとつひとつがどのようなものであるかというよりも、むしろ上記のような10項目に照らし合わせて、愛犬の目に異常があるかないかをより早くキャッチすることのほうが、大切なことなのです。眼の病気の中には、たいへん緊急を要する病気もありますので、異常に気づいたら直ちに、獣医師の診断を受けてください。

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