犬の飼い方

犬を迎えるにあたって

知っておきたい犬の体とその働き

犬を飼うにあたり、いったいどれだけの人が犬のことを研究してから飼っているでしょうか。ただかわいいから、なんとなく飼ってしまうというのがほとんどでしょう。もう少し犬のことを研究してから、飼ってみましょう。

必要な検診・ワクチンなど

  • 【生後25日目】 検便・駆虫(虫くだし)
  • 【生後30~40日目】 離乳開始→55日ごろまでに終わらせる(ドライフードを湿らせて与えるのが理想)
    親譲りの免疫のない犬や、流行地域の犬はこの時期に、犬ジステンパー・パルボウイルス感染症・伝染性肝炎・アデノウイルス2型感染症・パラインフルエンザ・コロナウイルス感染症・レプトスピラ感染症(コペンハーゲニー・カニコーラ・ヘブドマディス)などの混合ワクチン接種
  • 【生後2ヶ月前後】 第1回上記混合ワクチン接種
    検便
    乳歯および咬合検査
  • 【3ヶ月前後】 第2回上記混合ワクチン接種(以降毎年1回追加接種)
  • 【91日目~】 狂犬病予防注射接種
  • 【5ヶ月目】 検便
  • 【6ヶ月目】 検便(以降、春・夏・秋・冬年4回)
  • 【7ヶ月目】 歯の検査
  • 【1歳】 上記混合ワクチン追加接種(以降、毎年1回追加接種)
    健康診断(以降、毎年1回以上)
  • 【7~12歳】 7歳以降は、食餌に良質なたんぱく質を加える
    年2回、健康診断を受ける
  • 【13歳以上】 年4回、健康診断を受ける

犬に入れ歯はしないのですか?

犬は、本来肉食獣です。肉食獣の一般的特徴のひとつに、歯が、我々人間とは、大変異なっていることがあげられます。犬の口をあけてみればわかるとおり、どの歯を見ても、文字どおり犬歯で、先がとがっていて、かなり間隔をもちながら、上下全部で42本並んでいます。
肉食獣の歯はかみつぶすのではなく、肉や骨にかみつき、引き裂くのに便利にできています。引き裂いたかたまりのままで飲みこむわけです。したがって、食道もたいへん弾力に富み、唾液も多く、飲み込むのに適しています。一方これを受け入れる胃も、消化器全体から見て、人間よりずっと大きな割合をしめていて、とても酸度が強く(pH1.4~4.5)また、小腸はその割りに短く、これも肉類を消化するのに便利だといえます。
したがって、仮に歯が1本もなくなったとしても、犬が人間とともに生活していて、飼主が食べ物を飲み込める大きさにして与える限り、ほとんど消化器に対しての影響はないわけです。
これで、ことさら犬に入れ歯をしないわけがおわかりいただけたと思います。しかし、最近では、動物と人間のふれあいの中でこの問題を考えるとき、コンパニオンアニマルとしての犬たちが、ただ食事が食べられればよいというだけでなく、犬たち我々と同じ医学の恩恵を受けられるべきであるという考えから、動物病院での犬の歯科業務の領域が広がってきつつあります。言い換えれば、歯石の除去や抜歯などが獣医歯科のほとんどであったのに比べ、歯髄内治療や義歯を使用するケースも少しずつ増えてきています。
以上、肉食獣の歯と消化器についてお話してきましたが、ここで間違えてはいけないことは、肉食獣だからといって肉だけを与えていればよいのではない、ということです。犬の栄養学はたいへん進歩していて、それにもとづいてよく考えて作られたバランスのよいドッグフード(カンヅメは除く)が市販されていますので、これを与えるのが一番よいのです。なぜなら、本来肉食獣が食べているものには、肉だけでなく内臓も骨も腸の中の未消化物も含まれているわけで、我々が食べる肉とは全く異なるからなのです。
なお、つけ加えますと、健康な犬はビタミンCを体内で合成できますので、このような意味での野菜や果物の補給も不必要になるわけです。

犬も持っているスカンクの袋(肛門嚢)

犬や猫がスカンクと同様に、お尻からくさい液を出すことは意外に知られていないようです。
犬や猫の肛門の両側には、一対の小さな袋があり、この袋を肛門嚢といいます。犬は興奮したり、危険を感じて緊張したようなときに、この肛門嚢から大変強い悪臭を伴う液体を出します。
お尻を床などにこすりつけながら前足だけで歩くような動作をしたり、お尻を気にしていらいらする時は、この袋に液がたくさんたまっていたりするものです。 細菌感染がおこり肛門嚢が化膿していたり、また袋自体がすでに破れてその周囲に膿瘍を作っているものや、ひどいものでは、その部分に穴(瘻管)ができていることさえあります。
こうなると犬は非常に痛がり、苦痛のために触らせなくなったり、咬みつくようになります。
このようになったものでは、当然手術を必要としますが、肛門嚢が破れたような例では手術もそれだけ大がかりなものとなります。
大切なのはそうならないうちに、定期的に肛門嚢をしぼってやることですが、一番よい方法は健康なときに摘出手術を受けておくことです。
この嚢は、野生時代には役立つものでしたが、人と生活を共にする場合は家を汚し、悪臭の元にもなり、しかも、悪くするとこのような病気を起こすことにもなります。
肛門嚢摘出手術を受けておけば、一生安心できますので、獣医師に相談してください。

仔犬を上手に選ぶには

犬にもたいへん大きなものから、わずか1kgたらずの小型のものまでいろいろな種類がいます。自分の家の環境に適したサイズの犬を選び、家族の了解のもとに飼いたいものです。 仔犬を選ぶときは何よりもまず健康で性質のよいものを選ぶことが一番です。できることなら時間をかけて、ゆっくり観察して選びましょう。
ペットショップをご覧になった人ならお気づきと思いますが、たくさんいる仔犬の中には、人がそばに行くとしっぽがちぎれてしまうかと思うほど振りながらよってきたり、仲間とじゃれあっている元気な仔犬もいれば、逆にいかにも神経質そうに一人ぼっちで、すみっこにいるものや元気がないもの、おとなしすぎるもの、手でも近づけようものなら歯をむき出しておこる仔犬もいるものです。これは明らかに前者の仔犬を選んだほうがよいに決まっています。後者の仔犬などがよく新聞でご覧になるように人をかむような性格になりやすいのです。
性格のよい犬でも病気がちでは、後からたいへんです。それこそ飼主泣かせの犬になりかねません。
まず、一見して活気のあることが大切です。被毛につやがなく、あちこちハゲていたり、四肢が曲がっていて歩き方もよたよたしているようでは要注意です。もし、近くでご覧になったり、実際に抱いてみる機会がありましたら、もう少し詳しく観察してください。

涙っぽく目やにが出ていないか。
目が澄んでいるか、にごっていないか。
犬の耳は、ふつうはよごれがないものです。
よごれがないか、変なにおいはしていないか。
ふけのようなものはないか。
鼻水が出ていないか、乾燥していないか。
くしゃみやせきをしないか。
口は臭くないか、歯ぐきの色はきれいなピンク色をしているか。
肛門
お尻がよごれていないか。
変なにおいはしていないか。
最近は、動物に関する良い指導書が出版されるようになりました。このような本を読んでから仔犬を選ぶほうが賢明だと思います。

犬の年齢と人間の年齢を比べると

犬を人間の年齢にあてはめてみますと、およそ下記の表のようになります。

1ヵ月半 4歳 3ヵ月半 6歳 6ヵ月 10歳
9ヵ月 13歳 1年 15歳 1年半 20歳
2年 24歳 3年 28歳 4年 32歳
5年 36歳 6年 40歳 7年 44歳
8年 48歳 9年 52歳 10年 56歳
11年 60歳 12年 64歳 13年 68歳
14年 72歳 15年 76歳 16年 80歳
17年 84歳 18年 88歳 19年 92歳
20年 96歳 21年 100歳    

歯を調べれば年齢がわかる

生後3週齢から乳歯が生え始め、8週齢でそろいます。生後4ヶ月から永久歯に生え変わり始め、7ヶ月齢ですべての永久歯が生えそろいます。

仔犬の病気と予防

腸内寄生虫の検査と駆虫

腸内寄生虫による影響はおとなの犬では当然のこと、仔犬でもその影響はたいへん大きいのです。寄生虫によって、ひどい貧血や栄養障害など、時には死の危険にもさらされることさえあります。仔犬を飼ったら、ただちに動物病院で便の検査を受け、必要な駆虫をするようにしましょう。

伝性病のワクチン接種

仔犬を飼い始めたら、すぐにジステンパー、パルボウイルス感染症、伝染性肝炎、ケンネルコフ、パラインフルエンザ、レプトスピラ症などの混合ワクチンの接種を受けてください。これらの伝染病は、最近多くの犬がワクチン接種を定期的に行っているので、病気そのものは一時期よりたいへん少なくなりましたが、いつの間にかこれらの伝染病にかかり、取り返しのつかないことになってしまうものが絶えません。予防は完全にしておくことが大切です。2回目の接種は、1回目の接種後2週間から1ヶ月前後で行います。また、親ゆずり免疫(免疫抗体)をもらっているか、いないかわからない仔犬は、飼い始めたらすぐに予防接種を受けるべきです。このような場合はその後、1ヶ月ごとに3回接種することになります。

フィラリア症の予防

3歳、4歳と年をとっていきうちに、いつの間にか心臓内に多数のフィラリアが寄生し、多くの問題を起こしてくるフィラリア症は、ジステンパーや伝染性肝炎などと異なりワクチンによる予防ができません。このフィラリア症の本当の予防には、蚊の発生している期間および蚊がみられなくなって1~2ヶ月間、予防薬を内服する方法があります。しかし、この予防薬は、血液中にフィラリアの仔虫(ミクロフィラリア)が認められる犬に飲ませると危険な副作用が現れることがあるので、感染前の仔犬のときから飲ませ始めることが肝心です。
 以上犬の寄生虫やいくつかの伝染病について述べてきましたが、仔犬を飼い始めたら、何はともあれ、動物病院で予防のできるこれらの病気や、便の検査についても相談し、じゅうぶん理解しておいていただきたいと思います。

栄養

古くから、犬の生理学や栄養学が研究され、今日では、研究をもとに完全栄養食といえる製品がいろいろと供給されています。例えば成長期の仔犬のための特別なフードや、厳しい寒さや狩猟などの厳しい使役のためのフードなどが、ドライタイプ、セミウェットタイプ(半生)、缶詰、人口乳、離乳食などの形で作られています。それぞれの製品は犬の消化吸収能力と栄養成分のバランスと全体の必要量を考えて作られていることはいうまでもありません。  現在、すべてのドッグフードメーカーは、犬に必要な栄養成分の基準として世界で最も権威のある、アメリカ科学アカデミーの発表している、“犬の栄養要求量”の報告書(日本語版-株式会社国立出版)にもとづいて、いかによいドッグフードを作るかで苦心しているわけです。
日本でも、ドッグフードや食餌療法用の処方食が普及してきました。しかし、まだ人と同じ食べ物を与えることが多く、栄養的に過剰であったり、欠乏していたり、また著しくバランスを失っていたりしている場合が少なくありません。幼犬、老犬、病犬、酷暑や厳寒時、狩猟など厳しい運動時では、特に犬の生理をよく理解し栄養の過不足のないような食餌を考えなければなりません。
自家製の食餌を供与する場合は、近くの動物病院で相談するか、“犬の栄養要求量”を参考にしていただければ理想的です。
健康犬の自家製食餌のおおまかな目安を次に上げますので、この基準を守るように心がけてください。

  • ①平均的な成犬の1日の維持量は大型犬で体重1kg当り80カロリー、小型犬では100カロリーです。
  • ②カロリーは64%以内を炭水化物で、25%はたんぱく質で、11%は脂肪で取るとよい。
  • ③成犬のたんぱく質の量は、体重1kg当り10gの肉類でよい(肉は20%前後のたんぱく質を含む)。
  • ④発育中の場合は、カロリー、ビタミン、ミネラルも成犬量の2倍が必要となります。
  • ⑤繁殖、授乳時は、成犬維持量の2倍以上。
  • ⑥自家製食餌では、ビタミンA、B1、B2、B12、D、E、カルシウム、鉄、銅、コバルトなどが不足し、リン、マンガン、亜鉛、葉酸などが過剰になる傾向があります。中でもカルシウムとリンの比は1.2:1でこのバランスをいつも維持することがたいへん重要であり、成長期は特にカルシウムとビタミンDの過不足に気をつける必要があります。

しかし、これらの問題は、すべて良質のドッグフードを与えることで解決してしまうのです。
今までのところを要約しますと、犬の栄養を理想的に供給するには、完全食である工場製品のフードをそれぞれのタイプに合わせて利用することが一番です。  よくわからないときは動物病院でご相談ください。

運動

犬は飼い主と散歩することが大好きです。適度な運動は血液の循環をよくし、便通を促し、新陳代謝を盛んにし、食欲を増します。心身ともに健康を保つためにはぜひ必要なものといえます。しかし放しての散歩などは、他の人にたいへん迷惑になりますのでやめたいものです。

運動の目安

  • 【極小型犬】室内で自由に運動しているものでは必要ありませんが、活発でない犬は運動不足になるので、朝夕10~20分くらいずつ運動をさせます。
  • 【小型犬】朝夕30分くらいずつ庭先へ放す程度の運動が必要です。
  • 【中型犬】朝夕速歩で30~40分ずつの運動が必要です。無理な走り方でなければ、自転車運動もよいでしょう。
  • 【大型犬】朝夕40~60分くらいずつみっちり運動させなければなりません。訓練士にお願いするのもよい方法です。
    運動の時に訓練をするのもよいでしょう。

散歩の際は、引き綱を長くせずに、短くして、自分より先に進ませず、並行に(いっしょに)歩くこと“ヒールポジションで歩く”。また、運動中に排便をしたら、必ず飼い主が、紙、ビニールなどで始末するようにします。棒やボールを投げて取ってこさせるなどは服従の訓練になり、また運動にもなります。ただし、特別な訓練は、専門家(訓練士)を紹介してもらうのもよいと思います。

性質のよい犬にするために

犬も基本的には人間と同じです。仔犬は、4週の初めにかけて、人間に対し、接近したり、尾を振ったり、吠えたり、後について来たりしはじめるものです。この動作は同腹の仔犬に対しても同じことで、体の発育に応じて日に日に珍しいしぐさや、違った遊戯が認められるようになります。
このような行動は、新生子と呼ばれる段階から成長し、幼児期に入り、社会化と呼ばれる大切な時期が始まったことを告げるものです。仔犬はこの時期に犬の仲間や人間に対して、社会的関係を確立することになり、4~12週齢がその時期にあたっています。ふつうは4~5週齢までの間に、知覚および運動能力が発達し、行動パターンの発生、学習能力の発達の基礎が固められるのです。4~12週齢の時期は、社会化の臨界期といわれ、この時期の社会的経験が将来の行動に大きく影響し、その犬の一生を支配する最も重要な時期となります。
ここにおもしろい実験結果があります。いくつかあげてみることにしましょう。子犬を最初の12週齢の間、人間にまったく近づけないとします。そういう仔犬は、通常人間との社会化をさせることは不可能だといわれています。すなわち、知らないものを極度に恐れ、咬む犬になってしまうのです。同じ例として、少し極端ですが大きなケンネルで12~16週齢になるまで人間との接触があまりない犬は、人間に対する社会化がうまくいかないことになります。また一方、仔犬を3週半齢で同腹の仲間から離して人間だけに接触させるようにすると、12週齢時には犬に対して非社会的になり、犬を仲間と見なくなってしまいます。こういう犬は、しばしば繁殖に適さなかったり、飼い主に対して性行動を示したりしやすくなります。このような理由で、仔犬を飼う適期は6~10週齢だということがいえます。よくかわいがられていた仔犬でも、その後、多くの人との接触が少なくなった場合、6ヶ月齢にもなるとしばしば過度に臆病になったりして扱いが難しくなります。注意してください。

手入れ
ブラッシング、入浴、爪切り、トリミングなど、行き届いた手入れはイヌの健康を維持し、美しさを保つのに不可欠です。
ブラッシング
ブラッシングは、犬種にあったブラシで運動の後に行います。まず、毛並みに逆らって行いゴミを浮かし、次に毛並みにそってゴミや抜け毛を取ります。
コーミング
長毛種ではクシでごみを取り、毛並みを整え、もつれた毛をとき、抜け毛を除きます。くしは体の下からかけ始めて上へ上がっていきます。
シャンプー
まず、シャンプーの前に、爪切り、目薬、耳栓、肛門腺絞りを行う。シャンプーには犬用シャンプーを使用し、刺激のあるものや、よく落ちすぎる洗剤は避けてください。目や耳に入ったらじゅうぶんに水洗いして洗剤が残らないようにしてください。 シャンプー後、もう一度、目薬、耳の掃除を行ってください。
シャンプーの順序
セッティング
小型長毛種では美しい被毛を保つために、コンディショナーをスプレーしてとかし、セットペーパーで束ねて毛がもつれないようにします。
トリミング
その犬をより美しく見せるために毛をカットします。大切なことはその犬種の標準をよく理解し、もっとも望ましい体型にカットすることですが、これはトリマーの仕事です。
耳の手入れ
においの激しい犬では耳の中に、黒褐色の粘性の分泌物があったり、炎症を起こして化膿していたり、また、耳ダニの寄生も多いものです。耳は時々見て(1週間に1回くらい)中の毛を抜き、清潔にし、いつも乾燥させておきましょう。特に垂れ耳の犬は注意して、上記のような異常があれば、ただちに病院でご相談ください。
歯の手入れ(デンタルケアー)
歯は定期的に獣医師に診察してもらいましょう。歯石をそのままにしておくと口臭が強くなり、歯肉炎、歯槽膿漏、歯根炎と進み、歯が抜けてしまったり、いろいろな病気のもとになりかねません。また、腎臓や心臓、さらに全身的に悪い影響を及ぼすこともまれではありません。
ですから、毎日のデンタルケアーをおすすめします。 ①ブラッシング ②なめるタイプの歯磨き(CET)→食後に1cmなめさせる。 ③咬んで食べるタイプの歯磨き(t/d)
爪の手入れ
爪が長すぎると、姿勢が悪くなったり、歩行が困難になることさえあります。前肢の第1指の爪(後肢にもあることがある)が伸びすぎると肢にくいこんでしまうこともあります。爪を切るときには血管を確認し、注意深く専用の爪切りで切ってください。うまく切れないときは、病院や犬の美容院にお願いしましょう。

子犬がかかりやすい骨の病気-栄養性二次性上皮小体機能亢進症(俗にいうクル病)

四肢の骨や背骨が曲がったり、関節が腫れたり、運動を嫌がったり、重症になると歩行困難になったり、ちょっとしたことで折れたりする骨の病気です。
大切な点は、このようにひどくなる前に、なんとなく動きたがらない、原因不明の四肢の痛みなどがあれば、この病気を疑うことです。
原因は食餌の中のカルシウムとリンのバランスが悪い場合と、カルシウムの絶対量が不足する場合です。専門家は、食餌内容を聞くだけで、それとわかるのがふつうです。
幸いなことに正しい栄養のバランスのとれた食餌、すなわちドッグフードと犬用ミルクを与えることで予防ができますし、早ければ、ほとんどの例で完全に治ります。

伝染病について

ジステンパー
ジステンパーは、ウイルスによって起こる伝染病で、下痢、嘔吐、高熱、咳、目やに、鼻汁などの症状を出します。ウイルスによる病気ですから、免疫が完全でないと、いつでも、どこにいても、その伝染を受ける可能性があるわけで、特に仔犬、老犬、病気や手術後の犬などではより致命的です。
ワクチンを正しく接種することで、予防することができます。仔犬では、ふつう2ヶ月齢前後で1回目、3ヶ月齢過ぎに2回目、以後、毎年1回の追加接種をします。ただし、2ヶ月齢以前でも母犬ゆずりの免疫(移行抗体)がない場合、流行地域の仔犬には、飼い始めたらただちに第1回目の接種、以後、2ヶ月齢、3ヶ月齢に接種します。くわしいことは病院でご相談ください。
犬伝染性肝炎
ジステンパーについては比較的よく知られていますが、犬にもウイルスによって起こる、こわい肝炎があることをご存知ですか。
伝染性肝炎と呼ばれるこの病気は、ジステンパー同様、悪くすれば死を招くおそろしい代表的な伝染病のひとつです(人間にはうつりません)。
主な症状は、元気や食欲がなくなり、嘔吐し、急死するものさえあります。また、目が白くにごる(急性前ブドウ膜炎:ブルーアイ)という、特徴的な症状を示すものもあります。
病気の激しさも犬によってまちまちですが、一晩で死亡してしまうもの(仔犬ではこのケースが多い)、数週間も症状を示すもの、また、この病気にかかっていても、まったく外に症状を示さない場合もあります。
このような犬の場合、その尿からは、ウイルスが排泄されることになり、他の犬にも感染させますので注意が必要です。
この病気も、ジステンパーと同様、やっかいな伝染病であることがおわかりいただけたと思います。しかし幸いなことに、30年以上も前から優れた予防ワクチンが使用されていますので、現在では比較的まれなものとなりつつあります。
しかし、ワクチン(普通はジステンパーとの混合ワクチン)を定期的に接種しておくことが必要です。
犬レプトスピラ症
レプトスピラ症は、スピロヘータという小さならせん状をした病原体によって起こる犬の伝染病です。
ネズミの尿や、この病気にかかっている犬の尿から感染します。高熱が出て、元気・食欲がなくなり、黄疸や体のいろいろな部分に点状や斑状の出血を起こしたりします。
最終的には腎炎により尿毒症を起こし、死に至るという怖い病気です。運良く命をとりとめたとしても、約1年もの長い間、尿の中にスピロヘータを排泄しますので、他の犬に対する感染源となります。
また、レプトスピラ症は、狂犬病などと同様、人間にも感染する可能性があります。身近にいる愛犬のためだけではなくお互いのためにも、こんな怖い病気にならないように、定期的に予防接種を受けることが大切です。
幸い、この病気についても良いワクチンがありますから、獣医師と相談の上、予防ワクチンのプログラムを立ててもらいましょう。
パルボウイルス性腸炎
パルボウイルスは、ウイルスの中で最も小さく、犬だけでなく、多くの哺乳類にも広く病気を起こすことが知られています。
犬のパルボウイルスについては、すでに1969年にその存在が確認されていますが、わが国でも一時期大流行を見ました。
この病気は、たいへん感染力の強い病気で、激しい嘔吐に始まり、トマトジュースのような下痢が何回も続くので激しい脱水が起こり、衰弱していきます。初期の治療を誤れば、死に至ることも多いたいへん怖い病気です。
幸い、予防ワクチンが日本でも完成しており、接種ができるようになりました。ワクチンが全国的に使用されるようになってからは、ほとんど大きな発生は見られなくなりました。
しかし、いつどこで再び発生するか油断はできませんので、定期的な予防接種が必要です。
不幸にして、感染、発病した場合には、嘔吐、下痢が頻回におきますので、できるだけ早く病院へ連れて行くように心がけてください。
この病気は最初の72時間が最も重要で、この間に強力に治療しなければなりません。持続的な輸液療法と、適切な抗生物質を一定の間隔で投与することと、手厚い看護が必要です。
幼犬や老犬、または他に病気を持っている犬などが感染した場合は、特に致命的な結果となりやすいのです。幼犬では心筋症を起こして急死したり、死亡率の高いことが特徴です。
パルボウイルスは抵抗性が極めて強く、アルコール、熱、クレゾール、その他の一般的な消毒薬はすべて効果がありません。
ただひとつ次亜塩素酸ナトリウム剤(塩素系漂白剤)が消毒効果のある薬剤です。ハイターなどの漂白剤を水で約30倍に薄めて使用します。
寄生虫(回虫症、鉤虫症、鞭虫症、条虫症、コクシジウム症)
各種寄生虫の消化管内寄生により発症します。軽いものでは症状があらわれませんが、病気の運び屋となる場合が多いので注意が必要です。
一般に食欲が減る、あるいは良く食べるのにやせ細ってくる、下痢、血便、嘔吐などの症状を起こし、ついには元気がなくなる、さらに重症になると貧血や脱水状態に陥り、死亡することさえあります。しかし、大切な点は、寄生虫がいると、いろいろな病気にもおかされやすくなり、しかも、病気が重くなりやすいことです。
予防は、寄生虫病にかかっている動物と一緒にしないこと、汚物をこまめに処理し、定期的(春夏秋冬)に検便を受けることです。
また、ノミは条虫の中間宿主ですので、ノミの駆除は条虫症予防のためにも必要なことです。
下痢
日本でも大流行したパルボウイルス性腸炎、古くから知られている恐ろしい急性サルモネラ症などでは一刻も早く強力な治療を開始しなければなりません。すぐには生命の危険はないものでも、こじれてしまうとその原因はさまざまで、寄生虫や飼い方に問題があるもの以外では、詳しい診断はたいへん難しく、治療にも時間のかかるようになってしまいます。
たかが下痢ぐらいと思いがちですが、ひどいものや長引くものでは、たいへん多くの水分と電解質を失い、体はいわゆる脱水状態になります。それに食欲不振や発熱などが伴えば、なおさら脱水状態は進行します。
そして、わずか体の約10%の水分が失われただけで、生命は危険にさらされるのです。これは小型犬、そして幼い犬であればあるほど、この脱水状態はより早く進行して行くのです。
ですから、幼い犬ほど早く診断し、治療する必要があるのです。また、老犬ではこのために隠れていた病気が表面化して大事に至ることが多いのです。
下痢の原因を究明する最適な方法は、なんといっても直腸にある新鮮な便を、直接顕微鏡で検査することですから、診察を受けるときは犬を連れて行ってください。
下痢には、小腸性のもの、大腸性のもの、その両方のものに大別することが出来ます。小腸性のものには、寄生虫や原虫症、吸収不良や膵機能不全による消化不良、潰瘍や腫瘍などがあり、大腸性のものにはやはり寄生虫や原虫症、腸の潰瘍や腫瘍など、そのほかの原因としては、犬ジステンパー、サルモネラ症、食物アレルギー、中毒、尿毒症などがあります。
飼主によっては、下痢をした動物に対して「食餌も水もやらないようにしている」などといいますが、これは消化器を休めるという意味だと思います。しかし、前述のように脱水を進行させますので大変危険を伴います。特に、仔犬や超小型犬では充分注意が必要です。むしろこのような危険をおかすよりも、より早く獣医師の診察を受ける方がよいと思います。
下痢をした場合、とりあえず家庭では、食餌や水を抜くことではなく、次のように、食餌の質に気を配ってください。
①繊維質や脂肪を減らし、穀類を与えないようにする。
②炭水化物を与えている場合はよく煮て与える。
③砂糖は与えない。
最近は全肉タイプの犬の食品が出まわっていますが、こうした食品は腸を円滑に働かせるための大切なもののひとつである穀類を含んでいません。このため、腸の機能が低下し、食物が消化しきれないために、黒く悪臭の強い便(下痢)をします。このような下痢は大変多いように思われます。これは抗生物質を与えてもよくなりません。全肉タイプのドッグフードだけで飼うことをやめ、良質のドッグフードを与えるだけでも急速に腸の活動が正常に回復するはずです。

皮膚の病気

皮膚病を起こす原因はたくさんあり、それぞれお互いが複雑に関係しあっていることが多いのです。しかし、どの皮膚病もその症状はよく似ています。毛が抜けたり、フケが多くでたり、激しいかゆみがあったり、ひっかき傷や血膿が出たり、皮膚の色が変わったりします。
主なものは、アカラス、カイセン、ノミ等が寄生して起こるもの、真菌(カビ)、細菌等によるもの、ホルモンや免疫機構の異常等によって起こるものがあります。
皮膚病の予防は、まず、いつも皮膚を清潔に保ち、長毛種では定期的にクシやブラシで毛の手入れをすることですが、忘れてならないのは、正しい栄養食を常時与えることです。
ノミの予防を定期的にすることも必要です。また、皮膚の状態がおかしいときは早めに動物病院で診察を受けてください。

歯の病気

犬には、虫歯がほとんどありませんが、歯垢がつき、唾液中のカルシウムとともに石化して、いろいろな歯の病気になっている犬が多いのには驚かされます。歯石がたまっているかどうかは、食欲がむらになったり、口臭が発生したりしますのですぐにわかります。歯石は歯周囲炎(歯肉炎、歯槽膿漏等)の原因となり、心臓や腎臓やそのほかの臓器に悪い影響を及ぼすことさえあるのです。
人間と同様の柔らかい食べ物を食べている犬には、特に歯石がたまる傾向が強いのです。年に2回は診察を受け、必要に応じて歯石を取ってもらうことです。
また、予防が一番大事であることは言うまでもありません。その方法としては、
①ブラッシング(指、ガーゼ、歯ブラシなど)。
②食べても大丈夫の歯磨き→CET→1回0.5~2.0cmを1日2~3回食後になめさせる
③食餌療法→t/d→噛むだけで歯の表面をきれいにします。
④おもちゃ等
また、仔犬では、生後7ヶ月までに全部が乳歯から永久歯に変わりますが7ヶ月過ぎても乳歯が残って二列に歯がはえていたり、永久歯が変な方向に生えてしまったりしているものが小型犬には特に多くみられます。このようなものは、そこに歯石がたまりやすく、口の形が変になることもありますので、残っている乳歯を抜くというような治療を受けたほうが良いでしょう。

耳の病気

垂れ耳や耳の中に毛がはえてくる犬種は、耳の中が乾燥しにくいため、細菌が繁殖しやすく、炎症も起こりやすいわけです。
耳の病気の多くは外耳炎ですが、その原因は、細菌によって起こるもの、耳ダニ、アレルギー、免疫機構の異常など、さまざまです。
症状は、耳に触れると嫌がる、耳が臭い、耳垂れが出る、耳を頻繁にかく、頭を振る、首を傾けるなどです。外耳炎をひどくすると、鼓膜を破って中耳まで炎症がひろがりますので、この病気に気づいたら、早めに病院で治療を受けてください。 予防は、耳の中をいつも清潔にする、耳の中の毛を抜き、そのあと刺激の少ない薬でよく消毒することですが、病院でご相談ください。

犬の眼の病気と見分け方

「目は口ほどにものをいい」などと昔から言われているように、眼は眼だけの病気のほかに、内科的な病気や、そのほかいろいろな病気のあらわれ(症状)を示してくれることがよくあります。
たとえば、それが、ジステンパーや伝染性肝炎であったり、糖尿病、あるいはリンパ腫であったりします。これらの病気は、どれをとってみても犬にとってたいへん重大で恐ろしい病気です。このような病気の一症状として、眼に異常をあらわしていることがありますので、じゅうぶん注意が必要です。
それでは眼の異常をどのようにして見つけたらよいでしょうか?幸いなことに眼は左右にひとつずつあるわけです。左右の眼を比較するなどして、下記の10項目をチェックすることにより、みなさんも眼の異常により早く気づくことができます。
①左右の眼が、なんであれ、異なっていれば、どちらかの眼が異常です。
②左右のヒトミ(瞳孔)の大きさが異なっていたら、どちらかの眼が異常です。
③左右のヒトミの色や虹彩の色が異なっていたら、どちらかの眼が異常であることが多い。
④たくさん目やにが出ている眼は異常です。
⑤たくさん涙があふれ出て、目頭の毛が茶色くなっている眼は異常です。
⑥眼が開くことができないで、しょぼしょぼさせ、時々前足で眼をこするような場合、眼は異常です。
⑦ヒトミが昼間、白く見えたり、赤や青に見える眼は異常です。
⑧必要以上にまぶしがる眼は異常です。
⑨まぶたに触れただけで痛がる眼は異常です。
⑩犬がよく物にぶつかるような場合、眼に異常があることがあります。
ひと口に眼の病気といっても、結膜の病気から角膜の病気、虹彩や毛様体の病気から網膜の病気にいたるまでたいへん数多くの病気があります。
愛犬家のみなさんは、そのひとつひとつがどのようなものであるかというよりも、むしろ上記のような10項目に照らし合わせて、愛犬の目に異常があるかないかをより早くキャッチすることのほうが、大切なことなのです。眼の病気の中には、たいへん緊急を要する病気もありますので、異常に気づいたら直ちに、獣医師の診断を受けてください。

瞬膜腺の病気
瞬膜とは第3眼瞼といわれているもので、目頭の方から出入りするうすい膜状のものです。その瞬膜の裏側の部分にはリンパ様の組織があります。この瞬膜の裏側に、あたかも、タラコかカズノコを見るようなぶつぶつが出てきて、犬は粘液様の眼やにを出し、涙が多くなります。これは、意外に多いものですが、普通飼い主は気づきにくいので注意してみてください。
この病気は、点眼薬で改善が見られますが、症状の進んでいるものは、外科的切除が必要です。手術後は1日に5~6回、約1週間程度、点眼薬を適用する必要があります。
涙やけ
涙やけは、涙があふれ出して眼の周りの毛が茶色く着色している状態のことです。涙が多くなる眼の病気は、すべて涙やけになります。
毛の白い犬では、特に眼の周囲の汚れが目立ちます。涙やけの一般的な原因としては、鼻涙管狭さく、または閉塞などが多く、マルチーズ、トイ・プードル、シーズィ、ペキニーズ、その他眼の丸く大きく飛び出している種類に、多く起こります。
できるだけ早く、診察を受け、涙のあふれる原因をつきとめて、治療してもらうことです。
外傷性角膜炎
犬は、他の動物とのケンカなどで、角膜(眼の1番表面)に傷を受けることがよくあります。
また、眼の周りの皮膚病や、かゆみを伴う眼の病気などを気にして、自分で眼をこすり、角膜に傷を付けてしまうことがあります。涙を流し、眼を開くことができず、やがて眼の表面は白く混濁してきます。
傷は、ごく浅いものから、他の眼の病気を引き起こす原因となるほど深い傷にいたるものまで、さまざまです。
外傷性角膜炎は眼球内部の病気に進行することが多いので、ただちに、獣医師の適確な診断と治療を必要とします。
まつげの乱生、重生
いわゆる逆さまつげのことで、まつげが2列にはえていたり、あるいは不規則に配列していることをいいます。
これらのまつげが結膜や角膜を刺激しなければ問題はありませんが、刺激して涙が多く流れ出たり、眼瞼がけいれんするような場合は、治療しなければなりません。このような異常なまつげの数が少ない場合は、毛を抜くことで、一時的に治るものもありますが、数が多い場合には手術が必要となります。
泌尿器の病気
犬の泌尿器の病気はたくさんありますが、その中で比較的多く発症し、治療期間も長く、他の泌尿器の病気にもなりやすい膀胱炎のことについてお話しましょう。 膀胱炎は感染、尿路結石、腫瘍、外傷などが原因で起こり、尿をする時にりきむ、尿に血が混じるといった症状があらわれます。このような症状を見つけたら、さっそく治療を始めなければなりません。
このような症状は、治療を開始すると数日でなくなりますが、ここで安心していけません。まだ、膀胱内には細菌が残っているのです。残っている細菌すべてがなくなるまで治療を続けなければなりません。感染を完全に治すまでには、約3週間はかかります。
完全に治らないと、膀胱結石をおこしたり、腎臓への上行感染を起こすことがあります。治療終了時および2週間後に必ず尿検査を行い、完治したかどうか確認します。犬によっては膀胱炎を起こしやすい種類もあり、再発することもしばしばあります。
総合ビタミン剤を毎日与えると、膀胱粘膜の抵抗力を強めるのに役立ちます。治療後も、排尿時のりきみ、尿をなめる、尿が臭い、尿に血が混じる、尿を漏らす、排尿回数が多いといった再発症状が出ないかどうか、じゅうぶんに注意します。多少でも尿路疾患の疑いがあるときは、検査のために病院へ連れて行きましょう。

心臓病

犬の心臓病は大まかには、3つに分けることができます。
①先天性の奇形によるもので外科手術が必要です。
②予防薬による予防をしないかぎり防げないフィラリア症。
③一番多いもので、高齢になるにしたがって多く起こり、しかも病気の進む心臓弁膜症です。
心臓病の症状は、咳、疲れやすい、動悸、失神、むくみや腹水、呼吸困難などです。

フィラリア

フィラリア症は、心臓内や肺の血管内に蚊によって伝播される虫が寄生することによって起こる病気です。
この寄生虫の成虫は、雄10~15cm、雌25~30cmのそうめんのような虫で、主に心臓の右心室内と肺動脈内に住みます。
この病気は、普通ゆっくり進行します。はじめは、あまりはっきりした症状を何もあらわしません。そのために犬が病気にかかっていても、飼い主は気がつかないことが多いのです。
病気がだんだん進行していくと、咳や疲れ、食欲不振、運動中に倒れたり、ときには、血のような色の尿をしたり、お腹に水がたまって、腹部が大きく膨らんだりします。
こうなってからでは、その治療もたいへんやっかいで、飼い主も獣医師も、そして犬自身も大変な苦労をしなければなりません。場所によっては、手術で虫を心臓や肺から取り出さなければならないことさえあります。
この病気もやはり、治療よりも予防が大切です。フィラリア症は、蚊によって伝播されますので、蚊の発生期間(地域によって差がありますが、およそ4月~12月)に、月1回予防薬を与えることによって、完全に予防することができます。
すでに夏を過ごして、蚊にさされた可能性のある犬では、薬を与える前に血液を調べ、フィラリアの仔虫であるミクロフィラリアがいないことを確かめておくことが必要です。
もしも、ミクロフィラリアがいることに気づかずに予防を始めますと、死亡するようなひどい副作用があらわれることがあるので、特に注意が必要です。

心臓弁膜症(特に僧帽弁閉鎖不全症)

この病気は、中年期から老年期に入るころに起こってくる、犬では、最も多い心臓病(フィラリア症を除いて)です。咳が出たり、疲れやすく、呼吸困難や失神を起こすことがあります。
この病気の原因はまだ不明ですが、いろいろの要因が関係しており、僧帽弁膜が変形することによって弁の閉鎖が不安全となり、血液が左心室から左心房への逆流するために、このような症状が出てくるのです。
この病気になった場合、弁を元の状態に戻すことはできませんが、注意深い聴診、レントゲン検査、心電図検査などにより、病気の進み具合を診断し、病気の程度によって、いろいろな段階の治療を行うことができます。
最も軽い段階から、血管拡張剤などの薬を与えると、病気の進行を遅らせることができます。もちろん、状態により、塩分を制限する食餌療法から、運動制限、何種類もの薬を必要とする重症例までさまざまです。この治療は、一生続けなければなりません。根気のいる治療になります。

うっ血性心不全の食餌療法

うっ血性心不全というのは、あらゆる心臓疾患の末期症状としてあらわれるもので、運動時の動悸、息切れ、呼吸困難などをはじめ、ひどくなると、安静にしている時でも、このほかにもいろいろな症状が見られるようになります。
心臓病の程度によっては、薬を与えることのほかに、塩分をきびしく制限した食餌を与えなければならないことがあります。
体の中の塩分(ナトリウム)が増えると、それだけ血液の量も多くなるので、心臓に負担がかかります。
まったく健康な状態であれば、余分な塩分は、腎臓から水分と一緒に尿として、じゅうぶん排泄できるのです。
しかし、心臓病が進むと、塩分と水分を体の中にためてしまい、浮腫や腹水や胸水が起こり、ついには肺水腫を起こして死亡することになります。そのような時は、利尿剤を使って、塩分を強力に取り除かなければなりませんが、同時に塩分のない食事を与えなければなりません。
心臓病の患者に理想的な処方食が輸入され、動物病院に用意されていますから、獣医師に相談してください。
いつも味のついた食事を食べている犬は、低塩食では喜んで食べないこともあります。このような場合、動物性脂肪などで、味付けをするとよいでしょう。

うっ血性心不全の食餌管理は塩(NaCl)のNa(ナトリウム)が体内に入るのを防ぐことにあります。

意外にNaの多い食品

  • パン 1切れ 118mg
  • 牛乳 28g 16mg
  • チーズ 7g 50mg
  • マーガリン 5g 49mg ドッグフードのNa(ナトリウム)含有量
  • カンヅメ食 100cal当り Na 177mg
  • バーガー 100cal当り Na 154mg
  • ドライフード 100cal当り Na 123mg
  • k/d処方食 100cal当り Na 53mg
  • h/d処方食 100cal当り Na 8mg

与えてはいけない食品

ほうれん草 ソーセージ 乾燥果実
肉のカンヅメ レーズン 魚のカンヅメ 食塩
レバー ドッグビスケット 保存肉 犬のチューインガム
バター ポップコーン クラッカー 加塩ナッツ
ケーキ アイスクリーム キャベツ ゼラチン

与えてもよい食品

ナトリウムの比較的少ないもの

豚肉少々 赤身の牛肉少々 鳥肉少々(白身)

ナトリウムの少ないもの

ジャガイモ モヤシ キュウリ ラード
トマト サラダ油 バナナ ジャム
リンゴ 落花生 ナシ 蜂蜜
ゴマ トウモロコシ ペッパー
米(炊いたもの) にんにく マカロニ ショウガ
スパゲティー

肥満症

肥りすぎは、人間社会と同様に、犬の世界にもますます多くなっています。肥満は、心臓、呼吸器、肝臓、膵臓、関節の病気や糖尿病にかかりやすくさせます。
この原因のほとんどは、飼い主があまやかしすぎて、摂取するカロリーが多すぎる割に運動不足で、消費するカロリーが少ないためですが、ホルモン性の病気もあるので、必ず獣医師に相談してください。
肥満症の予防には、正しい食餌を習慣付けることや、適度な運動をさせることが重要です。しかし、すでに肥りすぎになってしまった犬には、特別な低カロリー食を作るか、または、肥満症用の処方食(動物病院にあります)を与えるようにします。同時に、少しずつ運動させながら、毎日または数日ごとに、定期的に食餌の前に体重の測定を行い、食事の量と運動の量をコントロールしていくようにします。このように肥満症の治療は、獣医師の指導に基づいて、根気よく飼い主が努力していく以外に方法はありません。
最近の新聞や雑誌などで取り上げられるほどに、栄養過多や肥満症に伴う糖尿病は多くありません。その点は、人と犬では大いに異なっています。現在のところ犬の糖尿病によくきく内服薬はありません。人の内服剤はいずれも犬にはききませんし、有害です。

てんかん(癲癇)

元気に過ごしていた犬が、突然、口から泡を出して倒れ、全身がけいれんを起こしたとすれば、飼い主のみなさんは、「どうしたらよいのか」と、きっとたいへん動転することでしょう。
長くても通常2~3分で終わり、しばらくすると、いつものふるまいにもどるこのような発作は、てんかんかもしれません。
てんかんの場合、このような全身のけいれん症状のほかに、意識がなくなったり、または、けいれん中やけいれんの後に便や尿をもらしたりすることもあります。  しかし、てんかん以外にも同じような発作をあらわすいろいろなこわい病気がありますから、素人判断はいけません。必ず検査を受けて、どんな病気であるのかをはっきりさせてもらわなければなりません。
てんかんという病気は完全にもどることはありませんが、ほとんどの場合は治療により発作を起こさないようにコントロールすることができます。
しかし、多くの場合、薬を一生飲ませ続けることが必要になります。毎日薬を飲んでいるかぎり、健康な犬とまったく変わることなく過ごすことができます。

壮年老年病

人間は誰もが、いつまでも若くありたいと思いつつ、やがては壮年期、老年期と年をとっていくものですが、動物にもまったく同じことがいえます。
予防医学の発達とともに、若年齢での死亡率が低くなり、多くの動物が長生きできるようになって来ました。人間社会では、高齢化がいろいろと問題を投げかけていますが、動物社会においても、犬・猫・小鳥・エキゾチックアニマルなどの高齢化により、これに伴う疾病も多くなってきました。動物も年齢が進むにつれて、いくつかの特徴を示してきます。たとえば、首をすくめていたり、背をまるめていたり、尿のしつけがくずれてきたりします。
それでは、このような動物の体の中ではいったいどんなことがおきているのでしょうか。そのいくつかをあげてみますと、

  • ①睾丸が軟らかくなったり、卵巣が小さくなり、生殖器の機能が低下してくる。
  • ②末梢血管がもろくなってくる。
  • ③肝臓に脂肪が多くついてくる。
  • ④体温の調節がうまくいかなくなる。
  • ⑤のどのかわきに気づく能力が低下し水分不足が起こりやすくなる。
  • ⑥消化管にガスがたまりやすい。
  • ⑦腎臓の働きが低下してくる。
  • ⑧下垂体の萎縮やホルモン産生器官の機能が低下してくる。
  • ⑨乳腺の腫瘍が増えたり、前立腺が肥大する。免疫反応が弱くなる。
  • ⑪肥満、不活発などと関係する甲状腺機能低下症も非常に多い病気です。

以上、動物の高齢に伴う一般的な体の変化について述べてきましたが、いくつかよくある病気についてお話しましょう。

前立腺肥大と前立腺の病気

6歳以上の雄犬の60%に前立腺の肥大が起きているといわれています。しかし、幸いにもその多くは症状を出さないまま過ごしています。この良性の肥大は、年をとるとともにアンドロゲン(男性ホルモン)とエストロゲン(女性ホルモン)のバランスがくずれることによって起こってきます。特に、アンドロゲンの分泌が多すぎるためだといわれています。
前立腺の病気が起こると、犬は体がどことなく痛くて、抱こうとしたり、さわったりすると、「キャン、キャン」と泣いたり、歩き方がなんとなくおかしくなったりします。また、排便の時に強い痛みがあったり、便秘が起こってきたりすることも多いのです。 治療には、いろいろな方法が行われていますが、一番よいのは、去勢手術をすることです。若いうちに去勢手術を行った犬では、前立腺肥大は起こりません。予防のためにも、子供をもうけない犬では若いうちに去勢手術を受けておきましょう。

子宮蓄膿症

子宮蓄膿症は、中年から老齢の雌犬に最も多くみられる生殖器の病気で、症状によっては救急の処置が必要となり場合もあります。
この病気は、卵巣機能不全が原因で、発情の後期に細菌が入りこみ、子宮内膜炎が起こるためと考えられています。膣から膿が出ているのが見られれば確実に病気とわかりますが、それがまったくみられない場合もありますから、気をつけなければなりません。この病気の進行はゆっくりで、初期にはなかなか気がつかない場合もあります。多飲多尿、発熱、嘔吐等の症状があり、重症になると、激しい嘔吐、渇きがあり、脱水や昏睡もみられます。
この病気が疑われた場合には、腹部のレントゲン検査や血液検査によって診断されますが、子宮の腫大がわずかな場合は診断が難しいこともあります。
治療は、卵巣と子宮を外科手術で摘出することが最良の方法です。乳腺腫瘍の場合と同じで、卵巣子宮摘出手術を受けた犬では、この病気になりませんので、若いうちに避妊手術を受けておくことをおすすめします。

腫瘍

犬も7歳を過ぎるころには、人間でいえばちょうど癌(ガン)年齢に入ったということができます。皮膚、脾臓、肺、卵巣、乳腺等に腫瘍ができやすくなります。
雌犬の乳腺の腫瘍は、その中でも最も多いもので、良性の腫瘍と悪性の腫瘍(乳腺ガン)とがあります。悪性腫瘍では、発見が遅れると転移が起こり、手遅れになってしまうことがよくあります。乳腺のしこりを見つけたら、すぐに動物病院で診察を受けてください。乳腺腫瘍の良い治療は、なるべく早期に手術して摘出してしまうことです。成犬になる前に卵巣子宮摘出手術を受けた犬では、乳腺腫瘍の発生がまれですので、繁殖させない雌犬は、若いうちに避妊手術を受けて起きましょう。

薬の飲ませ方

家庭で薬を飲ませる時は、「獣医師の指示を守る」ということが重要です。特に、抗生物質の投与間隔については、その指示を守らないと薬の効果がなくなってしまうことさえあります。
犬に薬を飲ませる場合、次のような方法で与えることができます。

粉薬
ほっぺたに指を1本いれて、頬と歯の間のスペースをつくり、そこへスプーンに入れた粉薬をいれる。
錠剤
指先でつまんで、すばやくのどの奥深く入れ、すぐに口を閉じます。スポイドで水を飲ませるか、鼻をしばらくつまんで手を放しますと、ペロリと鼻をなめ、その拍子に薬を飲み込んでしまいます。
水薬
犬の頬をつまみ、スポイドで、頬と歯の間に入れて流し込みます。
食餌に混ぜて与える
上記のほかに食欲のある犬では、粉薬や水薬を食餌に混ぜて与えることができますが、この場合は、はじめに残さない程度の量の食餌に薬を混ぜ与え、それを全部食べてしまった後に残りの食事を与えるようにします。しかし、どうしても薬を混ぜると食事を食べない場合には、前述の方法により投薬するしかありません。

退院して家に帰った時の注意

  • ①退院した当座は、犬が興奮しやすく、たくさん食べたり飲んだりして、これが下痢・嘔吐の原因になることがありますので、与えすぎないように注意してください。
  • ②入院、または預かりの場合、なれない環境にいたので、完全に普段の状態に戻るには数日かかることがあります。
  • ③入院していた犬は、退院後には指示があるまで戸外運動をさせないでください。特に腹部、胸部の手術を受けた犬は気をつけてください。
  • ④退院後のようすを知らせるよう病院から指示があった場合は、診療時間内に電話してください。

お産と新生子の病気

犬のお産
雌犬は、生後6~10ヶ月くらいで最初の発情(出血)がきます。以後は、だいたい6ヶ月ごとに規則正しく繰り返します。
これに対し雄犬は、雌犬より2~3ヶ月遅れて性成熟します。雄犬は、その後いつでも交尾する能力があります。
発情
雌犬は、発情すると落ち着かなくなり、外陰部は、充血・腫脹してきます。発情の期間は通常3週間ほど続き、最初の10~14日間くらいは外陰部から出血があります。 最初の発情は交配させず、見送るほうがよいのですが、このような時に外陰部からの出血をどのように処理するかという質問をよく受けます。ペットのおむつをつけていただく以外にないでしょう。
交配期間
交配は、出血が始まって10~15日くらいの時が適しています。この時期に排卵が起こります。交配の最適期を知るための医学的な検査を受け、確実な交配と受胎を心がけましょう。
妊娠
本当に妊娠したかどうかは、1週に1回体重を測定してみることでだいたいわかります。体重が徐々に増加するようならば、妊娠はほぼ確実ですが、確認のためには交配後28日ごろに獣医師の診察を受けることをおすすめします。
偽妊娠
交配の有無に関係なく発情のあと40日目ごろに、雌犬の体の状態が、たとえば乳頭(乳首)がピンク色になったりして妊娠犬とそっくりの特徴を見せることがあります。妊娠とは根本的に異なり、体重の増加が認められないことで見破られますが、時には乳腺が張りすぎて、しこりができ、乳腺炎になることもあります。このことも獣医師の診察によって確実になります。
交配前のプログラム
繁殖を希望する雌犬は、あらかじめ発情予定日までに各種ワクチンを受け、また寄生虫の検査・駆除も受けておきましょう。
交配適期は、出血があってから、11日目から13日目です。
交配後のプログラム
交配後25~28日目に受診(第1回目)、妊娠の鑑定を行うので、午前中に食事を与えなず、便・尿をさせたあと、病院へ連れて行きます(28日目をこえると触診での妊娠鑑定が難しくなります)。その後は、一般状態により、受診頻度は異なります。
交配後55~58日目に受診、分娩の難易度の検査、および分娩と新生仔と母親の管理等について、説明を受けて下さい。
妊娠中の注意事項
運動:妊娠前半は、通常の運動であればおおいに結構ですが、後半は消耗や危険のない程度の運動にとどめるべきです。
食餌:胎児が発育するにつれて母犬も食欲を増すものです。良質のドッグフードを1日3~4回に分けて与えるのがよいでしょう。これは、大きくなった子宮で胃腸を圧迫されて苦しくなるのを防ぐためです。食餌の量は平素より増やします。できれば、処方食(ヒルズのp/d)が最適です。
駆虫:初期には駆虫してもかまいませんが、4週を過ぎてからは、通常行ないません。いずれにしても、駆虫はワクチン接種と同様に、妊娠前に済ませておきたいものです。
日光浴:ビタミンDの不足を補うために、充分な日光浴をさせます。
その他:妊娠犬は、ふだんよりいらいらしているので、けんかなどで流産させないように注意しましょう。
お産
妊娠期間はほぼ63日ですから、出産予定日の2週間前になったら産室の準備にとりかかり、犬をここで寝かしつける習慣をつけます。なお、妊娠42~43日を過ぎるとレントゲン検査により胎児がうつります。
57日目になったら、病院で超音波検査・レントゲン検査・血液検査等をしてもらい、必要があれば、入院分娩の手はずなどを獣医師と前もって相談しておきます。 分娩が近づくと、食欲もなくなり、体温も下がります。分娩は、一般に夜半すぎから夜明けにかけてが多いようです。陣痛が始まったら、異常のあるなしにかかわらず、すぐに獣医師に連絡をとっておくことです。 最初の仔犬が生まれてから最後の仔犬が生まれるまでの時間は、一定していません。生まれてきた胎児は薄い袋をかぶって出てきますが、母犬はすぐにそれを食い破って食べてしまい、臍の緒をかみ切ります。 もし、仮死状態で生まれた胎児がいたら、すぐに鼻の穴をふさいでいる粘液をふき取り、口の中をぬぐってやったあと、体をふいて全身をマッサージしてやります。 難産は、ふつう、胎児の姿勢の異常、足のほうから出て、産道にひっかかっていたり、子宮の中で外へ出ることができないほど大きくなっていたり、母親の陣痛が弱すぎる時などに起こります。 このような場合には、ただちに獣医師に診てもらい、その指示に従うことが、母犬、仔犬のより多くの生命を救うことになります。
産後
分娩が終わっても、母犬は仔犬が気になって、排便や排尿にさえ、なかなか外に出ようとしませんが、時間をみはからって上手に誘い出し、産室の汚れた床を取り替えたり、不具な仔犬や、特別な手当てが必要な弱々しい仔犬がいないかどうか調べます。
また、母犬と仔犬の様子をよく観察し、母乳が飲めない仔犬がいたら、母犬の乳首につけて吸わせてやるとか、母犬が意識的に遠ざけるような仔犬がいたら、離して獣医師に相談してください。
授乳中の母犬は、平素の2倍以上の栄養を必要としますから、日頃食べ慣れている食餌のほかに、犬用のミルクや水も、産室の中や近くに運んで安心して食べられるようにしてやるのもよい方法です。 このように、お産の後の母犬と仔犬の世話には細心の注意が必要です。

新生子の生理と病気

新生子とは、出生から3週齢までの仔犬のことです。この時期の死亡率は、約20%に達していますが、この率は、繁殖系、ハウジング、衛生状態、およびケンネルの管理法などで良くも悪くもなります。
生後24時間は、90%は眠っています。残りの10%は母乳を飲む時間です。母親のミルクを飲むことで、新生子は母体で暖められ、体温を保つことができるのです。また、母親にじゅうぶんな伝染病の抗体がある場合は、母乳を飲むことによって、免疫抗体を受け継ぎます。

  • ・3日目までは、脚を曲げる筋肉が優勢なために、新生子はいつも丸まっています。
  • ・4日目までは、皮膚を収縮させることができません。
  • ・6日目までは、まだ体を震えさせることできません。
  • ・7日目までは、体温調節ができません。
  • ・10日目ぐらいから、眼が開きだします。
  • ・16日目ぐらいから、歩きだすことができます。
  • ・体重は毎日調べ、せいご8~10日で生まれた時の2倍になるのが正常です。
  • ・体温調節機能は、未発達なので、4週齢までは、成犬の体温より1~1.5℃低いこともめずらしくありません。

新生子の育て方

母犬が仔犬の面倒を見ない場合や、母犬がいない時には、飼い主が母犬の代わりに仔犬の面倒を見てやらなくてならないことがあります。 仔犬が鳴いてばかりいるようなときは、病気か、お腹がすいているか、寒がっている場合です。
部屋の温度は、27~30℃にしてやりますが、床も必ず温かくなるようにしなければなりません。ペットヒーターなどを利用して保温するのもよいでしょう。地域にもよりますが、夏でも保温の必要な場合もあります。
ミルクは、犬用のものが市販されていますので、今日では犬の人工哺乳も大変楽にできるようになっています。
動物用の哺乳ビンを使って、溶かしたミルクが38℃ぐらいになるように温めて与えます。ミルクの量や回数は、仔犬の体重や週齢によって異なりますが、ミルクの説明書どおりに与えればよいでしょう。詳しくは、獣医師に相談するとよいでしょう。
仔犬はお腹がいっぱいになると、すぐにおとなしく寝てしまうものですが、乳離れが始まるまでは自分で排泄することができないので、排便や排尿をさせてやる必要があります。
脱脂綿やティッシュペーパーを利用し、肛門、陰部などをやさしく刺激してやると排便排尿が起こります。
体重は、健康と発育のバロメーターです。毎日、体重を測定し、順調に体重が増えていくようであれば、発育は良好ということになります。
仔犬がミルクをよく飲み、よく眠り、よい便をしながら、順調に体重が増えていくようであれば、発育は良好ということになります。
初めての虫下しや、ワクチンの接種がすぐに必要になりますので、獣医師に相談してください。

新生子の病気

母親が健康で、環境がよければ3ヶ月齢までは、一般の飼い主の方に関係のある病気はあまりありません。起こりやすいのは、低血糖症、低体温症、水分の不足による脱水、それに母親の胎内にいる時に胎盤を通して感染する回虫、鉤虫の寄生虫病です。
これらの原因は、母親にある場合と新生子そのものにある場合があります。

母親の場合
栄養不良、ミルクの分泌不足、病気、仔犬の面倒をみないなどがあります。
新生子の場合
未熟子、先天性奇形、兄弟が多くてじゅうぶんにミルクを飲んだり、世話をしてもらえない場合があります。 よって、新生子の病気を注意する場合は母親の健康状態にもじゅうぶんに注意しなければなりません。

簡単な処置

低血糖症:はちみつまたは砂糖をとかした温水を与えるか、人工哺乳をする。
低体温症:体温を34.5℃以上にして母親にもどす。この場合、人間の胸で温めてやってもよい。
脱水:水分を与えるか、人工哺乳をする。
寄生虫病:
①交配をする前に、母親の便の検査を行い、必要に応じ駆虫をしておく。
②生後3週齢になったら、1回目の駆虫、特に回虫の駆虫を行ないます。

新生子の病気の見つけ方

毎日、1頭1頭の状態を調べます。
①体重を調べる。病気になると、体重の増加はストップします。
②便の状態を調べる。病気が進むと、便の色、形、においなどが、かわってきます。
③体温を調べる。母親は仔犬の体温が下がると、他の仔犬と区別して、面倒をみなくなります。また、口のまわりにミルクがつくことも体温の下がっている証拠です。
④全体の動きを調べ、他の新生子と比べてよく観察することです。
そのほか異常があればただちに獣医師に相談することが大切です。

離乳

母乳を飲んでいたもの、また、人工哺乳の仔犬たち、いずれにしても、やがては離乳の時期を迎え、自分で普通の食事を食べていかなければなりません。
離乳時こそ、ドライのドッグフードの味に慣らすための最高のチャンスです。これで新しい飼い主に飼われても安心です。
離乳の時期は、おおよそ30日齢からはじめます。離乳の第一歩は、子犬を食器になれさせることで、浅い皿などに、ごくわずかのミルクを入れて仔犬の目の前に差し出します。
次に、子犬用のドライフードをお湯でふやかしてミルクと混ぜ、おかゆ状の食餌の量を増やしていきます。
やがて、仔犬が口の周りや鼻先に離乳食をくっつけながらも、たくましく食べ始めるようになれば、もう一安心です。生後50日を目安に、次の段階のより固めの食餌を与え、ミルクや母乳を減らしていきます。
離乳が完了(55日齢)しても、はじめのうちは、仔犬の胃袋がまだ小さく、すぐにお腹がすいてしまいます。食餌は1日3~4回与えるようにしましょう。

狼爪と狼爪切除

犬は、普通、前肢の指が5本、後肢の指は4本となっています。それ以上余分に生えている爪や指は狼爪(狼指)といいますが、グレートピレネーズやその他のいくつかの大型犬など例外的に、狼爪があるものが正常のものもあります。
狼爪は両後肢にはえていたり、、片肢だけのものもあります。狼爪(指)は、役に立つことのない、よけいなものなので、何かにひっかけたり、ケガをすることも多く、通常、生後1週間以内に切除手術をしています。
また、ショードッグ(ドッグショーに参加させる犬)の場合の、特にトイブリード(超小型犬)では、前肢の親指とともに、この狼爪を切除することが行なわれています。これは四肢を、よりすっきり、スマートにみせるためのものです。
この手術は、新生子の場合、非常に簡単に行なえる手術なので、仔犬が生まれたら、よく指を観察し、獣医師に相談してください。もちろん成犬になっても手術は可能ですが、生まれてから1週間以内に行なっておくべきです。

断尾手術

前述の狼爪手術と同様、新生子のうちに行なうものに、断尾手術があります。ボクサー、ドーベルマンピンシェル、独ポインター、エアーデルテリア、フォックステリア、ヨークシャーテリア、スパニエル、プードル等の犬種では、生後1週間以内に断尾手術を行ないます。
成犬になってからでも手術は可能ですが、これもやはり新生子のうちに行なうべき手術で、たいへん容易にでき、手術後、ただちに家に連れ帰ることができます。